業界内でも意外と知らない人が多いので、こういった疑問に答えます。
ポイント
✔︎本記事の内容
1.IT業界の契約形態とメリット・デメリットを全てまとめました
2.契約形態の注意点や裏話
この記事を書いている僕は約7年間契約事務を担当した経験があり、すべての契約で働いた経験があります。
法律的に微妙な契約も担当していたので、常に試行錯誤していました。
こういった僕が解説していきます。
1.IT業界の契約形態とメリット・デメリットを全てまとめました
その①:請負契約
✔︎どういった契約なのか?
発注者から仕事の完成を目的とする契約です。自社に指揮命令権があります。
例えば、以下の契約です。
◯◯プログラム開発
◯◯システム開発
✔︎SEのメリットとデメリットは?
メリットは、完成すればOKなので、当初は3ヶ月で完成予定のものを2ヶ月で完成しても予定通りの金額をいただけます。しかも、自分の職務権限は広いからやりがいがある。デメリットは仕事の完成責任を負うので、精神的負担がある。残業が増える傾向になる。完成するまで入金されません。
その②:派遣契約
✔︎どういった契約なのか?
自己の雇用する社員を派遣先に派遣します。派遣先に指揮命令を受けて仕事をします。
✔︎SEのメリットとデメリットは?
メリットは、仕事の完成を目的としていないので、完成していなくても報酬(時間給)をいただけます。派遣先企業の指示命令を受けるので、相談しやすく精神的負担は軽いです。残業が少ないです。デメリットは派遣社員に裁量権はないので、派遣先の指揮命令や時間に縛られます。
その③:準委任契約・SES(システムエンジニアリングサービス)契約
✔︎どういった契約なのか?
発注者から仕事の完成を目的としない一定の業務を行う契約です。指揮命令権は自社にあります。時給制が多いです。
例えば以下の契約です。
◯◯運用業務
◯◯保守業務
ちなみに、業務委託契約とは、請負契約、準委任契約、SES契約をまとめた契約になります。
✔︎SEのメリットとデメリットは?
メリットは、仕事の完成を目的としていないので、報酬(準委任額)は得られます。しかも、自分の職務権限は広いからやりがいがある。残業は少ない。デメリットは、派遣先の時間に縛られる。派遣契約との違いが分かりづらい。
その④:出向契約
✔︎どういった契約なのか?
出向とは、出向元の会社と何らかの労働関係を保ちながら、出向先との間において新たな労働関係に基づき相当期間継続的に勤務する形態。親会社、子会社等の出資関係がある場合が多いです。出向元と雇用関係を継続する在籍出向と出向元に雇用関係がない移籍出向があります。
✔︎SEのメリットとデメリットは?
メリットは、グループ企業のメリットを享受できる(人材育成等)
デメリットは、社員のモチベーションが低くなる可能性がある
その⑤:契約社員
✔︎どういった契約なのか?
雇用期間が決まっている社員。通常1年更新
✔︎メリットとデメリットは?
メリットは、各種条件(勤務地、勤務時間、仕事内容、金額)については交渉次第。柔軟に働くことができます。
デメリットは、将来的に不安定。
2.契約形態の注意点や裏話
その①:偽装請負に注意
実質的には、派遣なのに、請負契約を結んでいる契約です。例えば、派遣先の社員から直接指示される場合です。
私自身も、システムエンジニアとして現場に配属していた際に、ベンダーさんに直接指示したことがありました。その際は、ベンダーさんの管理者の方に注意を受けました。知らない人って結構多いですよね。
その②:2重派遣に注意
A社(顧客)に対してB社(ベンダー)経由でC社の社員を派遣する場合です。2重派遣といって、A社とB社間で派遣契約、B社とC社間でも派遣契約を結んだ場合です。B社に人がいない場合に、C社に人がいれば、B社の社員としてA社に派遣するケースです。これは法律違反に該当するのでNGです。ただ、結構このケースはあるので気をつける必要があります。
この2重派遣を回避するためには、A社とB社間は業務委託契約、B社とC社間は派遣契約を結べば大丈夫です。
A社としては、契約する会社を絞りたいのです。会社を増やすと、手続きも増えるし、新会社の財務や信用調査をするからです。また、A社が管理する手間も増えるからです。できれば、事務処理を担当する人も現場の管理者もB社でまとめて欲しいと思うのです。
また、B社としてもメリットがあります。自分の社員がいなくても、C社の社員で売上が上がるからです。同様にC社にもメリットがあります。営業しなくても、人さえいれば仕事を受注できるからです。
最後に
エンジニアも、自分の契約を知ると将来の働き方やキャリアアップも想像つきやすいです。考えることだから、就活生や転職希望者は興味のある会社がどのような契約が多いかを知っておくといいですよ。