私が現場エンジニアから一旦離れて本社勤務で採用担当になった2012年頃の話です。2012年当時は、景気の底から少しずつ上がり始めた頃で、人材を採用することは今ほど苦労しなかった時です。私はどのような人を採用すればいいのか?分かりませんでした。適当に採用するわけにはいきません。なぜなら、一旦採用すれば、基本的には社員として長期間の雇用が前提になるからです。そこで、自分のためにも一度採用するための目安になるものを作っておこうと思いました。社内にはほとんど参考になるものがなかったので、試行錯誤して作成しました。それが採用基準なるものです。今回はどのように採用基準を作成したか、ご説明したいと思います。
ポイント
✔︎本記事の内容
1.採用基準が必要な理由
2.私が実際に作った採用基準作成手順について
私はIT業界経験は24年間。現場管理者、採用基準も作成するなど、採用責任者も経験しました。また、約100社の人事担当者で勉強会も開催した経験があります。そんな私が解説します。
1.なぜ採用基準が必要なの?3つの理由
なぜ、採用基準が必要になるのでしょうか。
採用基準がないと問題になることがあるからです。それでは具体的な事例を見ていきましょう。
(1)面接官によって採用不採用の基準が曖昧になり公正な判断ができないため求職者や学校機関が不信感を持つこと。
(2)入社したはいいが、現場が求めるスキルにマッチしなかったために早期離職に繋がること。
(3)絶対的な基準ではなく、相対評価(人と比べる)になり、ある程度の人数を見ないと判断できないため選考スピードが遅くなること。それにより、先に他社で採用が決まること。
従って、採用担当者は、自分のためにも採用基準は必要になります。
2.私が実際に作った採用基準作成手順について
(1)会社の将来像から必要人材を考える
将来、どのような会社になろうとしているかを踏まえ、必要人材を考えます。
(2)社員の年齢層の推移を把握する
現時点の社員の年齢層と5年後、10年後くらいのスパンで、社員の年齢層の推移をみる。
(3)今後数年間の新卒、中途の採用目標人数を決める
(1),(2)を踏まえて決めます。その際に、退職率等は考えませんでした。
(4)現場情報収集
成功している社員から成果に至った考え方と行動をヒアリングし、傾向を分析する。
また、現場で求める最低限の条件をヒアリングする。
(5)人材要件作成
・分析した結果に基づき、考え方と行動を単純化し、人材要件と優先順位をまとめる。
(6)各選考フローに反映する
いかがでしょうか。
おそらく、社員数50名未満の会社であれば、専属の採用担当はいないと思います。現場を兼務していたり、場合によっては社長が採用を担当しているケースもありますので、基準はなくても大丈夫だと思います。社員数が50名を越えると、採用担当者が数名になる可能性があるので、ざっくりでもいいので採用基準は作った方がいいと思います。意外と採用基準を作れば、自社の将来像を考えるいい機会になりますよ〜
是非、自社に合った採用基準を作成してください。