最近、退職代行サービスが流行っています。
先日、数社のIT会社の人事担当者と打ち合わせしていた際に、グチっていました。
「今年の新入社員が退職代行サービスを使って退職したよ。」
「何も退職代行を使わなくてもいいのに。。。」
「ただ、社員証と、入館証は返してくれればそれでいいのに。。。」
かなりショックを受けていました。
とかく、最近の新人は・・・
とか
退職代行を使うなんて、卑怯・・・
とか
話す人もいますが、本当にそうでしょうか。
10年くらい前までは考えられませんでしたが、最近はどこの会社でも、年に1人くらいは退職代行サービスを使って退職しているみたいです。
それくらい需要があるみたいです。
会社側の問題もないでしょうか。
私は退職代行サービスを使った経験もないし、使われた経験はありませんが、会社の人事担当者で退職相談は100人以上も受けていましたので、会社の人事担当者の目線も踏まえて退職代行サービスのメリット・デメリットを考えたいと思います。
今回は、主に下記3点について考えてみます。
ポイント
その1【人事担当者が解説】退職代行サービスのメリット・デメリットが分かる
その2【人事担当者が解説】どんな人が退職代行サービスを使うべきなのか
その3【人事担当者が解説】どんな退職代行サービスを使えばいいのか
その1【人事担当者が解説】退職代行サービスのメリット・デメリットが分かる
なぜ、これだけ退職代行サービスを使っている人が多いのでしょうか。
退職代行が流行っている主な理由を考えました。
①お世話になった人に言いづらいから
②入社して早い時期に退職しづらいから
③退職まで時間がかかりそうだから
④簡単に退職を認めてくれなさそうだから
統計を見てみると退職代行を利用している年齢層は、20代が7割を超えていて圧倒的に若い人が多いです。
だから、自分が退職を申告しても、会社の上司や管理職に説得されると思っているのではないでしょうか。
実際はどうでしょうか。
正解です。
1度は説得します。
私も、経験はありますが、若い人は未来があるので、極力会社に残って自分と一緒に頑張って欲しいのです。
だから、退職の申告があったとしても、すぐには承認しません。
まずは本人の話を聞いて、本人の不満や条件を確認します。
その上で、会社としても受け入れる部分は受け入れて、本人の考えに対して問題がある場合は考えを改めるように説得するのです。
これは、別に若い人を苦しめるつもりではなく、先輩である自分の経験や世間の考えを本人に説明した上で再考してもらいたいからです。
「短絡的な考えで、会社を辞めるなんて、早まるな!」
会社を辞めて、路頭に迷うかもしれないと本気で思っているからです。
実際に私もそうでした。
でも、そんな先輩の話を聞いて退職を取り消した社員は、ほとんどいませんでした。
うざい
ですよね?
今から振り返ると、独りよがりだったのかもしれません。
だから、若い人には退職代行は需要があるのだと思います。
それでは、退職代行には、どんなメリットがあるのでしょうか。
退職代行を使うメリット
①退職を申告する精神的負担が軽減する
②感情的なもつれを防止できる
③中立的に退職手続きを代行してもらえる
本人が退職を申告する場合は、先ほども話した通り、上司や管理職からしたら良かれと思い、本人に説得するわけですから、それを聞いているだけで精神的なストレスはかかります。
場合によっては、感情的になる上司もいるかもしれません。
そのストレスがないのが、最大のメリットです。
また、退職手続きは、初めてする人がほとんどなので、分からないことが多いです。
その点、経験のある退職代行に任せれば安心です。
次に退職代行を使うデメリットをご説明します。
退職代行を使うデメリット
①コストがかかる(3万〜5万円)
②退職までの期間は精神的負担がかかる
③退職後の会社関係者とは会いづらい
②の退職申告や手続きは、退職代行業者に依頼しますが、退職までの間(最低でも2週間)は緊張感はあります。
できるだけ、会社の関係者と会いたくないと思います。
有給休暇が残っていなかったり、引き継ぎがある場合等、会社に行く必要が出てきたときの精神的負担はあると思います。
まあ、一時的ですが。
③の退職代行を使う場合は、覚悟が必要です。
その会社とは縁を切るつもりで考えてください。
会社としても、人に任せて退職をすることに対して、裏切られたとショックを受けているはずなので。
その2【人事担当者が解説】どんな人が退職代行サービスを使うべきなのか
私の考えをあらかじめ話しておくと、ほとんどの人は退職代行サービスを使わなくてもいいという考えです。
その理由を挙げてみます。
①退職は自由だから
②強い退職意思があればいいから
③損害賠償を請求されることは、ほとんどないから
単純な話を言うと、②の強い退職意思があれば退職できます。
例えば、上司から説得されても、何を言われても、「退職します」と言えばいいだけです。
私の経験でも、会社の上司に退職することを伝えると、肩の力が抜けて、退職に向けて前に進めるような気持ちになります。
だから、本当は簡単なんです。
よく③の会社から損害賠償を請求されないか?と思う人もいますが、請求されている人もしている会社も聞いたことがありません。
会社としては、退職拒否する法的根拠はありませんので、心配しなくてもいいです。
ほとんどの人は退職代行サービスは使わずに、自分で退職意思を固めて、上司に思い切って話しています。
では、どんな人が退職代行サービスを使うべきでしょうか。
私は以下のような場合には退職代行サービスを使ってもやむを得ないかな、、、と思います。
①会社から退職拒否されて、それに対して言い出せない人
②パワハラ満載で、怯えている人
①も②も最近はないと思いますが、昔は本当にありました。
言い出せずに、退職出来ないようであれば、退職代行サービスを使ってもいいと思います。
その3【人事担当者が解説】どんな退職代行サービスを使えばいいのか
それでは、どんな退職代行サービスを使えばいいのでしょうか。
数十社あるので悩みますよね。
もし、退職代行サービスを使うのであれば、法律事務所が対応してくれるような会社がいいと思います。
その理由としては、下記の通り
メモ
①会社側からすると、単なる退職代行業者よりも弁護士の方が対応に慎重になるから(会社は退職代行業者に対して不信感あり)
②万が一損害賠償になった場合に、法律事務所だと対応できるから
③弁護士でなければ対応できない業務があるから
・有給休暇取得調整
・退職金の請求
・未払い給料支払いの交渉等
従って弁護士が対応してくれるような退職代行サービスを使えばいいと思います。
最後に。
私の体験談から言うと、私は退職まで約1年かかりました。
強い退職意思がなかったのが、長引いた1番の原因ですが、もう1つ理由があります。
それは、私の上司に退職届を提出した時に、すぐには認められなかったからです。
「もう1度考えて欲しい。半年くらい考えてもらって、それでも辞めたければ、その時に退職する方向で進めよう」
と言われました。
その時は、年齢のこともあるので、すぐに転職先も見つけられないからと思い、納得はしました。
でも、今考えると、かなり時間をかけられたな〜と思います。
私でも、そうなんだから、若い人は説得されるのは分かります。
だから、今後も退職代行サービスを使う需要は減らないだろうと思います。
最近は、コロナでテレワーク(在宅勤務)になり、退職することもハードルが下がってきています。
なぜなら、会社に出社しないので会社の人達と接する機会が減っているからです。
特に客先常駐SEは顕著です。
今までは毎日の客先で、身を粉にして一所懸命、納期を守り、トラブル対応していましたが、4月以降は自宅でリモートで働いているので実感が湧かない人も増えていると思います。
現場とマネージメントの間での価値観のギャップや労働者へのしわ寄せが、とりわけ起こりやすく深刻になりやすい状況になっている気がします。
客先常駐SEはお客様の気持ちを察する力が強い方が多く、責任感や我慢強さを備えている方が多いと思います。
ですので、かなり過酷な勤務条件になったとしても、ガス抜きをするための休暇をとったり、条件の変更を申し出て、自分のケアへの対策をするよりも、相手の方や周りの方に気を遣って、かなり限界まで頑張ってしまうことが多いのではないでしょうか。
結果起こることは、我慢の限界というところまで自分を追い詰めて、精神状態を悪くしたり、もう話をするのも無理で、退職代行にお願いしてその職場を離れるしかない、とまでなってしまいやすいのだと思います。
そうなる前に、元気なうちに自分から退職を言い出すか、難しいのであれば、退職代行サービスを使って、まずは一旦離脱することを考えてもいいのではないでしょうか。その時は、弁護士がサポートできる業者をお勧めします。